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とある食品メーカーさんA社のお話です。


A社は、地元の展示会に出展しました。


そして、地元で超有名な販売店のバイヤーさんと名刺交換をしました。


バイヤーさんはA社の商品をとても気に入ってくださったそうです。


A社の担当さんから私に連絡が来たのはその1週間ほど後です。



聞けば、そのバイヤーさんから連絡が来ないとのこと。


商品を気に入ってくれたので連絡を待ってるのですがとのことでした。


私はすぐにお伝えしました、A社担当さんからバイヤーさんに電話しないと話は進まないですよと。


電話した上で先方へ出向いて商談をしないと注文をもらえないこともお伝えしました。



その話を聞いてすぐに電話をされて、先方にて無事に商談をすることになりました。


しかし、商談から1ヶ月ほどして、またA社担当さんから私に連絡がありました。


商談の最後に、先方から「見積りを見て決めますので、見積書をください」と言われたそうです。


商談の場で掛率を聞くことなく、なんとなくこれくらいならいけるかなという考えだけで見積書を作り、バイヤーさんにメールを送ったそうです。


その掛率を聞いた瞬間に、そのバイヤーさんが持つ掛率と合ってないことが私にはわかりました。


メール送信後、一向に連絡がないとのことでした。



実は私はそのバイヤーさんととても仲良しでした。


ですので雑談の中でそのバイヤーさんにA社のことを聞いてみました。


するとやはり、「A社は商品はとてもいいのですが掛率が合わないんですよね」とのことでした。


「そのことをA社担当さんに伝えますので、もう一度チャンスをあげてください」とその場でお願いし、その後すぐにA社担当さんに電話しました。


そして、バイヤーさんの条件に合う掛率の見積書を作成し、もう一度先方へ出向いて商談してもらい、無事A社とその販売店さんの取引は成立しました。



A社は本件で、やってはいけないことを2つやっています。


1つは展示会の後にフォローをせずに最終クロージングの商談まで持っていかなかったこと。


もう1つは、見積書の掛率を商談の中で確定させなかったことです。



特に見積書のことは私からすると、とてももったいない話です。


先方が持つ条件さえ合えば、すぐに注文がもらえたはずだからです。


「見積りは口頭約束のエビデンス」


と私はよく言っています。


できる限り商談で先方が受け入れてくれる掛率を聞き出して確定させて、そのエビデンスとして見積書を作るべきなのです。



「見積書を見て決めますね」


と言われた時に、失礼のない程度に食い下がって聞くべきです。


「御社にも一定の条件があると思いますので、どれぐらいか教えていただけないでしょうか」


とか、


「例えば○掛だったらいかがでしょうか」と、ちょっと高めの掛率を言ってみるとか。


そんな話をしてみると、バイヤーさんからポロッと自分が持つ掛率が出てきたりします。



とにかく可能な限り商談の場で掛率を確定させる。


それができていれば、「今回の見積書を出したあと返事がない」は回避でき、すぐに注文をもらえたはずなのです。

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