先日、スイーツの実店舗をされている方からご相談を受けました。自社商品の卸売を強化したいとのことで、秋に展示会への出展を決められたとのこと。とはいえ、何からどう詰めれば良いのかわからないという内容でした。
出品する商品はほぼ決まっているとのことで、試食させていただきました。とても美味しかったです。しかし、卸の世界で成果を上げるために、商品を開発する以外に何が必要なのかを全くご存知ありませんでした。
かくいう私も、20年前は全くわかっていませんでした。同じスイーツの実店舗経営から卸の世界へ参入していったのは私も同じです。参入当時は当然のことながら何の知識もなく、たくさん頭を打ちながら学んできました。なのでその経験をしてきた私には、今回相談を受けた方がわからないことは何なのかが手に取るようにわかります。
ご存知ないことが一番問題になる点は、展示会に来られるバイヤーさんが、どんな条件を持っておられるかです。重要な条件は3つあります。①掛率、②賞味期限、③発注ロットです。
掛率は、販売店さんによって違います。当然私はどんな販売店さんがどんな掛率で商いされてるかはわかっています。しかし今回のような新規参入の方は当然それを知らないわけです。それがわからなければ、原価計算をした上で、販売価格をいくらにして利益をどれだけ確保するかを考えることは無理なわけです。
このような話になると、利益を確保するために、お店で販売している価格よりも高い販売価格にして、卸すのはOKなのですかという話になります。全くダメというわけではありませんが、あまりにかけ離れすぎると、お客様がツッコミを入れるのはメーカーさんにではなく販売店さんになり、販売店さんにご迷惑をおかけするので避けるべきです。
実店舗をされている方ですと、お客様が直接買ってくださるので利益をしっかり確保できますが、卸となると販売店さんに利益を取っていただく必要があるのでその分利益は下がります。その代わり数を多く卸して利益額を確保するものだと考えてください。
賞味期限は、保存温度帯が常温または冷凍商品であれば、60日以上の賞味期限を希望されることが多いです。もちろん、期限が短いものも売れる見込みがあれば仕入れてくださいますが、ハードルはとても高くなります。
私は以前経営していたスイーツ店では、焼き菓子の賞味期限を14日に設定していました。そういう商品を販売されているメーカーさんからすれば、60日の賞味期限の商品を作ろうとしたこともないでしょうし、どんなレシピにすれば良いのかわからないという方もおられます。しかし、そこは販売店さんが求める賞味期限に合わせにいかないと、賞味期限が短すぎるという理由でご注文いただけないことになってしまいます。
発注ロットは、1回の注文で何個納品されるかという意味です。メーカーさんは送料を割安にするという意味でも、1回でできるだけ多く卸したい。販売店さんは賞味期限のロスをできるだけ避けたいのでできるだけ少なく仕入れたい。そのせめぎ合いになるわけですが、今までの私の経験からすると、販売価格×ロット=2万円前後が、あらゆる販売店さんが仕入れやすいロットです。
ちなみに今回のスイーツ店さんは、ロットのこともそもそもご存知ありませんでした。当然私も昔は知りませんでした。
重要な条件3つの他にも、裏面シールが法律通りに作られている、菌検査のエビデンスを有している、PL保険に加入しているなどなどあります。これらは販売店さんによってクリアすべき条件が異なりますが、想定される条件はあらかじめクリアしておいて商談会や営業に臨んでいただければと思います。
今回のスイーツ店さんと同じく、初めて展示会に出展するがどうしたら良いかわからないという方、ぜひ私にご相談ください。
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