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以前、とあるバイヤーさんから電話がありました。


「知人(Aさん)が自社の商品を持って営業に来てくれたのですが、ちょっと問題があり、話を聞いてもらえませんか。」という内容でした。



別日にバイヤーさんと会って、話を聞きました。


Aさんは、事業再構築補助金を活用して異業種から食品製造卸の世界へ参入された人でした。


Aさんからその商品の説明を聞くと、上代も決まっておらず、納価も決まっていなかったそうです。


バイヤーさんはその商談で、Aさんは製造はできるけれど商品化して商談する前にまとめておくべきことがわかっていないと感じ、知人だからなんとかしてあげたい、と思い私に相談してくださったわけです。



そして私はA社社長とお会いし、お仕事の依頼を受けました。


上代と納価が決まっていないと聞いた時点で、おそらく原価計算ができていないのではとお聞きしたところ、やはりそうでした。


材料や包装資材の原価を1つずつ洗い出し、一緒に計算をしました。


原価計算をするためには卸のロットが決まっていなければなりませんが、ロットも決まっておりませんでした。一緒にロットも決め、商品1個にかかる送料も割り出しました。


あと、既製のパッケージを使っておられたのですが、ロットが小さすぎて単価が高く、原価を上げる要因となっていましたので、単価を下げる方法のお伝えもしました。


これらにより、Aさんの商品は上代もロットも掛率の下限が決まり、晴れて営業して受注できる商品となりました。



世の中のバイヤーさんは、たくさんのメーカーさんと商談します。


少し話せば、そのメーカーさんがどのレベルにいるのかすぐに見抜きます。


今回の事例も、Aさんが上代や納価が決まっていないと言った時点で、先に進められるレベルではないとバイヤーさんは感じました。


ただ、知人なのでなんとかしてあげたいとのご好意で、私に依頼があったわけです。



今回の事例のように、「このメーカーさん、なんとかしてあげてください」とバイヤーさんから頼まれることが私はよくあります。


今は商談を進められるレベルではないけれど、商談を進められるレベルになってくれれば注文したい商品だとバイヤーさんが思われた場合に、そういう依頼が来ます。


商談を進められるレベルとは、卸の商談のために必要なスペックのことです。上代、掛率、ロット、賞味期限などが確定していることを指します。



スペックが確定していなければ、バイヤーさんは商談できません。


知人であったり、スペックさえまとまれば注文したいと思う商品であれば、上記のように私に依頼くださったりしますが、それはとても稀なことです。



スペックがまとまっていない商品のほとんどは、バイヤーさんが早々にそのことを見抜き、それ以上話を進めようとしません。


「商品を気に入ってくれて一度商談したが、その後連絡が途絶えた」などというのは、その結果だったりします。


そして、「あなたの商品はスペックがまとまっていないので商談はしません」とは言ってくれません。


なのでメーカーさんは、商談が途絶えた理由がわからずに立ち止まってしまいます。


そんな例も今までたくさん見てきました。



商品を開発製造することだけに捉われることなく、商談するための最低限のスペックをまとめることも忘れずおこなってください。

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