「またこちらから連絡させていただきますね。」
展示会で、商品のことをとても気に入ってくださった何人かのバイヤーさんの最後の一言です。
メーカーさんとしてはその言葉はとても好印象で、連絡が来るのを楽しみに待つ方もおられます。
しかし待てど暮らせど、そのバイヤーさんからの連絡はありません。
展示会で、たくさんのメーカーさんのブースに立ち寄り、たくさんの商品を見るバイヤーさん。
良い商品だと感じてくださって、去り際に「またこちらから連絡させていただきますね。」と言ってくださるわけですが、日が経つにつれて、そんなことを言ったことすらも忘れてしまいます。
もちろん、単純に社交辞令で言っていることもあります。
これ、バイヤーさんは悪気があって言った言葉では決してありません。ただ、連絡は来ないわけですから、残念ながら、結果ウソをついたということになります。
ただ、連絡が来なかったからといって、「ウソつかれた」と嫌な気持ちになる
だけでは何の意味もありません。
そういうものだと最初から思っておいて、「またこちらから連絡させていただきますね。」と言われても、連絡するのはあくまでメーカーさんから行いましょう。
連絡の仕方は、メールではなく電話にしてください。
メールはあくまで展示会中に挨拶した当日に送り、忘れらないように送るものと考えてください。
メールを送ったら、あとはバイヤーさんから連絡が来ると考えるのも間違いです。
たまにはあるのですが、ほぼありません。
ラブレターを送ったら、あとは好きな人から返事が来ると思っているのと同じです。
私が当日御礼メールを送る時にすることは、バイヤーさんにすぐに思い出してもらえるように、ブースの写真を添付することです。
バイヤーさんが帰ってメールを見た時に、まず思い出してもらう。
その上で、少なくとも会期後3営業日以内に電話をかけます。
この電話では、改めてブースに立ち寄ってくださったことの御礼をお伝えすることと、改めて個別商談の機会をいただいてその日時調整をしてください。
この電話で商談が成立することはほぼありません。
展示会で一度会ってるのにまた商談する必要があるのかと思うかもしれませんが、商談が成立して注文がもらえるのは、あくまで個別商談をした時、またはその後なのです。
個別商談を一通り終わらせるのは、私は展示会終了後1ヶ月以内と決めています。
鉄は熱いうちに打てです。
個別商談は、直接会って話すのが一番です。
ただ、遠方のバイヤーさんだと難しいので、その時はオンラインでの商談をお願いします。
コロナ禍でオンライン商談が当たり前になったこともあり、当然のごとく受け入れてくださるバイヤーさんが多いです。
当社は和歌山に本社があるので、近畿圏の販売店さんであれば、できる限り出向くことにしています。
個別商談する時は、改めて商品の情報をお伝えし、さらにはバイヤーさんのご要望もしっかり聞き出して、バイヤーさんが求めるものを提案することを心がけてください。
自社商品へのこだわりが強すぎて、自社商品の良さをアピールしすぎてバイヤーさんの意見を聞かないという姿勢は良くありません。
このタイミングで注文してほしいというのはあくまでメーカーさんの勝手であると考えて、できる限りバイヤーさんの要望に沿うカタチを探ってください。
そして最後の最後の大一番、何掛けで取引するかという条件交渉です。
これには大きく4パターンあります。
「ウチは◯掛と決まっています」とバイヤーさんが言ってくるパターンA。
「ウチはだいたい◯掛〜◯掛です」と許容範囲を言ってくるパターンB。
「御社は何掛ですか?」とこちらの条件を聞いてくるパターンC。
「お見積でご提示ください」と、あくまで見積りを見て決めるというパターンD。
一番難しいのがパターンDです。
当社ではこの場合、あらゆる方向から質問を投げて、先方が持つ条件を引き出すようにしています。
「御社が持つ条件とあまりかけ離れた条件を出してもダメなので」とか、
「たとえば◯掛でしたらどうですか?」など、あえて高めの掛率を言って、どう返してくるかを見たりします。
「いやそれはさすがに」などと反応されたら、「ではどのあたりですか?」などとしつこく聞いたら、答えを教えてくれたりします。
「見積りは口頭で決めた数字のエビデンス」と私は考えています。
あくまで個別商談の場でバイヤーさんが持つ適度な掛率を確定させる。
それに基づいて見積書を出せば、「掛率が合わない」から取引しないという言い訳はクリアできるわけです。
展示会に出展してから注文をいただいてお金に変わるのは、出展後のフォローの精度だということを覚えておいてください。
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